CREATIVE SPIRALとは?

「CREATIVE SPIRAL(クリエイティブ・スパイラル)」とは、ひとつの作品モチーフを素材にして、いくつかの集団がその個性や特長を最大限に活用し、作品を創造するプロジェクトです。



CREATIVE SPIRAL
'07(2007年6月〜2008年1月)

今回のモチーフは三名刺繍による散文小説「楽園狂想曲」で、これに素をえて、

佐藤香聲(銀幕遊學◎レプリカント)
がパフォーマンス作品
(2007年6月29日〜7月1日
 -IST [イスト] 零番舘

劇団レトルト内閣が演劇作品
(2007年8月22日〜8月26日 芸術創造館)

東野祥子(BABY-Q)がダンス作品
(2008年1月26日〜1月27日 芸術創造館


をそれぞれ創造します。ひとつの作品モチーフが、それぞれの表現者によって、どう具体化されるかを是非ご覧ください。



三名刺繍/散文小説「楽園狂想曲」

〜STORY〜
ある日、ジャスミンの恋人である夕空の肌に月の表皮のような青いまだらなあざが浮かび上がる。それは日本では発症例のない新種のウイルスによる感染病「月食病」だった。そうしてある日、ジャスミンも自分の首筋にそのあざが浮んでいるのを発見する。逃亡、病との闘い、失踪した夕空を探しながらジャスミンは様々な人に会い、彼女と彼を蝕んでいった「月食病」の正体にたどり着こうとする。

〜三名刺繍(MINA、Shisyu)プロフィール〜
2001年「劇団レトルト内閣」を旗揚げ、ほぼ全作品の作・演出・音楽を手がける。初期はストーリー性の強い感動作品、中期は身体表現を織り交ぜたイメージ性の強い作品、近年は音楽性とヴィジュアル性を強めた総合芸術的なエンターテインメント作品を提供している。映像や音楽とのコラボレーションを積極的に取り入れ、ミュージッククリップ的、ライブ演劇的な作品も手がける。劇中で用いられる曲は、三名刺繍自身が作詞作曲するオリジナル音楽であり、クラシカルかつロックな楽曲が多い。これらの楽曲はレトルト内閣の世界感を構築する上で欠かせない要素となっている。

〜Scripter's notes(三名刺繍
コメント)〜
生きていて明確に言葉に出来る思想がどれほどあるだろう?全ては気分として潜在化に蠢き、都会の空にはノイズばかりが存在する。恋人とは何だろう?人は「私」を保証してくれる存在を求めている。もしくは「私」を消滅させてくれる存在を求めている。失われてゆくものを見つめながら、我々は声にならぬ白昼夢の病を生きている。三つの舞台が声にならぬ言葉が蘇らせる。なぜなら、今回「月食病」の世界を表現する人々はとても優しく苛立った表現者たちで、彼らの表現とは喪失を蘇らせる魔力のことなのだ。レプリカントの類稀な繊細さと荒々しさの紡ぎだす混沌世界に、東野氏の身体から紡ぎだされるノイズと毒性の香気に、その日、世界が転覆するのが見える。

クリエイティブ・スパイラル実行委員会
小原啓渡(芸術創造館 館長)
    松原利巳(芸術創造館 副館長)
   結城 沙都(-IST [イスト] 零番舘)
     川内 信弥(劇団レトルト内閣)